人生で2回もあんな大きな地震を経験するなんて思ってもいなかった。
2回目の、5年前は、私が住んでいる辺りは揺れは大きかったが、大きな被害はほとんどなかった。
ただ、大きな揺れを感じた時の自分の反応にびっくりしたのを覚えている。1995年の地震の時の感覚を覚えていたからだろうか…冷静さを失い、泣き叫んでいた。自分でも自分の反応に驚いた。自分の中で、頭で覚えているものではない、体が覚えている何かが反応したのだと思う。
東日本大震災で被害にあわれた方たちも、きっと、5年たった今でも(そして、これから先もずっと)自分が意識しないところで、体が思わぬ反応をして、苦しまれることがあるのではないかとおもう。直接被害にあわれた方たちにとって、5年という歳月は、いろいろな思いを咀嚼し、体になじませるには決して十分な時間ではないはず。何気なく自然にあの時のことを話せるときもあれば、頑なに心を閉ざしたくなる時もある。それはきっと、10年たっても、20年たっても、同じかもしれない。でも、それでいいのだと思う。無理をしないで…。ゆっくりと、自分のペースでいろいろな思いを咀嚼していくことが大事だとおもうから。
一日も早く、お一人お一人が、心穏やかに過ごせる日が来ることを心からお祈りする。
私が今できることは、それだけ…
そして、忘れないでいること。
この5年間、ずっと気になりつつ、東北へ行けずにいる。今年こそは、行ってみようと思っている。何もできないけれど、そこで生きる人を感じ、空気を感じるために。
黙祷。
◆漆工房の店くぼた◆